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15.03.10(Tue)

ロボットはiPhone の“次”に起こる大革命になりうるか

Brash Editorial Team

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~ロボットクリエイター高橋智隆氏スペシャルインタビュー~
ロボット産業華やかなりし昨今。 国内外の大企業の参入が相次ぎ、次の時代に見受けた胎動が始まっていることを感じさせる。そんな中、独特の視点で未来を見通しているのが、世界からも注目されているロボットクリエイター、高橋智隆氏だ。 今、日本のロボット絵画躍進するために必要なものは何か―――!?

技術大国・日本がロボット産業で不利な理由

  rb_img-1 日本は長らく、ロボット先進国として世界に認知されてきた。世界中でロボット産業が活性化している現状を、日本経済にとって大きな追い風と見る向きも多いだろう。ところが――。

「日本がロボット先進国でいられたのも今は昔。すでに世界に追いつかれ、そして追い抜かれてしまったのが現実でしょう」


高橋氏は辛辣にそう明言する。技術大国として名を馳せる日本だが、気がつけば他国に先を譲ってしまったというのだ。

「そもそも、これからの社会に必要なロボットというのが、今までやってきたことの延長線上にあるのかどうかを、見直さなければいけないと感じています。日本は長年にわたってロボット開発に取り組んできましたが、結果として今、思うような成果は挙がっていません。ならば、そもそもの方向性が間違っていたと考えるべきなんですよ」


高橋氏は指摘する。アカデミックな「研究」は「ビジネス」とは別物である、と。つまり、どれほど高い技術が備わっていても、ビジネス視点に欠ける日本のロボット産業がこれからの社会を変えるのは難しい、というわけだ。

「マンガ文化」が日本のアドバンテージ

  rb_img-2 ロボットは今、介護現場の人手不足を解消したり、生身では足を踏み入れられない災害現場で作業をしたり、さまざまなシーンでの活躍を期待されている。しかし、それが我々の日常生活にiPhoneのような革命をもたらすかというと、たしかに疑問である。

「それでも世界に"ロボットといえば日本"というイメージが残っているのは、大きなアドバンテージであると思います。アニメやマンガ、ゲームなどに長けている日本は本来、もっとコミュニケーションロボットにその強みを生かすべき。だから僕は、そこで勝負をしたいんです。少なくとも、ロボットで社会問題を解決しようというのは間違いでしょう」


ロボットのキャラクター性がコミュニケーションに役立つ。たしかにこれは、門外漢にもわかりやすい割り切った考え方であり、明快な方針と言える。実際、高橋さんが世に送り出してきた『キロボ』や『ロビ』は、高度な動作性とコミュニケーション機能とともに、誰にとっても親しみやすい、愛らしいルックスを備えている。

「たとえばiPhoneのSiriは、非常に高度な機能だと思いますが、これをユーザーがいまいち使い切れずにいるのも当然なんです。人はやはり、四角い箱を相手に話したくないんですよ。もしこれが人間、つまりロボットの形をしていたら、もっと自然にコミュニケーションできるのではないでしょうか。だから小型のヒューマノイドロボットがコミュニケーション端末として普及すると考えているのです」


2020年を契機に、日本初ロボット革命を起こせ!

  rb_img-3 ロボットは、パソコンやインターネットなどと同様に、人々に歴史的な変革をもたらすツールになり得るはずだと高橋氏は語る。問題は、まだ誰もそのきっかけを作れずにいることだ。

「iPhoneで僕らのライフスタイルが劇的に変わったように、きっかけは何かたった1つの製品です。だから世界中がiPhoneの"次"を狙っているわけですが、僕にとってのそれが小型のコミュニケーションロボットなんです。ただ、はるか未来まで予測しようとすることには、あまり意味がないでしょう。たとえば携帯電話が登場する以前は、電話1つでこれほどいろんなことができるようになるとは、誰も予想していませんでした。この先も同じ。10年先のことなんて、誰にも予測できないのが現実なんですよ」


そんな高橋氏は今、静かに腕を撫す野武士のように、次の"仕掛け"を準備している。詳細は正式発表を待つほかないが、世の中に大革命を起こし得る新作ロボットの投入だ。

「5年以内にはポケットにロボットを入れて持ち歩く生活を実現したい。そして、東京オリンピックで日本に注目が集まる際に、一気に世界へ拡散するのが理想的。……もしコケたとしても、イグノーベル賞くらいは貰えるだろうと関係者と話しています(笑)。そのくらいインパクトのあるロボットをお披露目できるはずですよ」



パソコンやスマホがあっという間に世界を駆け巡ったのと同様に、日本発のロボットが世界中を席巻する。そんな痛快なシーンが間近に迫っているのかもしれない。

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Photo:Masato Moriyama
Text:Satoshi Tomokiyo
Direction:Yuka Matsunaga