• BRASH TOP >
  • Lifestyle>
  • チャンスをものにできるビジネスマンのマインドとは

15.03.17(Tue)

チャンスをものにできるビジネスマンのマインドとは

Brash Editorial Team

Brash Editorial Team

takahashi2

~世界で活躍するロボットクリエイターとなった高橋さんに学ぶ~
幼少期からロボットの世界に傾倒し、たったひとりでロボット作りに取り組んできた高橋智隆氏。大資本による興行的なロボット開発とは一線を画し、戦略的にプロデュースされたロボットたちは、国内外で高く評価されている。
では、高橋氏はどのような思考をベースに成功を収めてきたのか―――?
そこにはオンリーワンのビジネスマインドを得るヒントが満ちている。


潮流に流されない独自の視点を

rb_img-5 ロボットは今日、介護や医療などさまざまな分野で活用され始めているが、高橋氏が世に送り出すロボットは、あくまでヒューマノイドロボットに特化しているのが特徴だ。
それらは、常にロボットの歴史を明確に彩ってきた。たとえば体長17センチの『エボルタ』は、わずか単三電池2本の動力でグランドキャニオンの絶壁を登り(2008年)、ル・マン24時間走行に成功するなど(2009年)、世間一般に伝わりやすいかたちでロボットの存在感を示してきた。

「研究開発は、どうしても何かの用途を求めがちですが、それではイノベーションは起きない。ロボットに何か社会問題を解決させようとするのではなく、ロボットが人々の生活に自然に溶け込むことが、僕にとって理想の未来像です」


目指すのは、パソコンやスマホのように、誰の身近にも普通にロボットが存在している未来。これは他の研究者にはない、独特のマインドだろう。

目標達成のためのプロセスを吟味せよ

rb_img-6 高橋氏がデザインするロボットが、一貫してキャラクター性のある愛らしいデザインで統一されているのも、そんな狙いによるものだ。その視点には、ユーザーとロボットをいかに調和させるかという至上命題がある。

「ロボットにかぎらず、ユーザーというのはいつだって保守的なもの。どれだけ便利で高機能なロボットを作ったとしても、唐突に"さあ、買ってください"と言ったところで、誰も手を伸ばしてはくれません。そうではなく、ユーザーが自然にロボットを使うように仕向ける。だから今私は、小型ロボットを情報通信端末として携帯電話ショップで販売しようと考えています。今世の中はスマートフォンの次、を模索してメガネ型や腕時計型など様々なアイデアが出てきていますが、私は、小型のロボットが本命だろうと考えています」


現在の職業を純然たるビジネスとは捉えていない。あくまで自身が欲するロボットを具現化し、思い描く理想の未来を実現するために、人々を巻き込む方法に考えを巡らせている。今日の成功は、個人的な欲求がたまたま世の中の価値基準と合致して得られたものに過ぎないと高橋氏は言うのだ。

自分なりの切り替えスイッチを見つけておこう

rb_img-7 輝かしいキャリアを誇る高橋氏だが、挫折を経験していないわけではない。

「以前、制作していたプロジェクトが3つ続けてお蔵入りしてしまった時には、さすがにヘコみましたね。共同開発をしていた大手企業の経営的な判断や、震災の影響など、やむを得ないことなのですが、苦心して準備してきたロボットが日の目を見ないのは辛いことです」


いかなる立場であっても、こうした壁や挫折は付き物。だからこそ、気持ちをリセットする方法を持つ者が強い。高橋氏はこのとき、次のような行動で立て直しをはかったという。

「打ち合わせの中でお蔵入りが決まった直後の昼休みに電話を掛けて、目星をつけていたクルーザーを買いました(笑)。開発中断も大事件ですが、船購入はもっと大事件で、すっかり気持ちが切り替わりました。ちなみに船や車、時計などの工業製品から学ぶことは多いんですよ。デザインや素材、さらにはプロモーションやブランディングまで、さまざまなノウハウがたくさん詰まっている。次のロボットにつながるインスピレーションもたくさん得られました」


もちろん誰にでも真似できることではないが、自分なりの切り替えスイッチを見つけておくことは大切だろう。

「夢」ではなく「ビジョン」を持つこと

ロボットは今、勝負の時を迎えていると高橋氏は言う。見方を変えれば、ロボット開発に携わる者にとり、大きな好機の到来が迫っているということになるだろう。そう水を向けてみると――。

「ずっと準備していた物が、まもなくお披露目できるはず。楽しみにしていてください。早ければ5年後には、今この時点では誰も想像していないような生活が待っているかもしれません」


変化の激しいこの時代、「10年先のことは誰にも見通せない」というのが高橋氏の持論。だからこそ、闇雲に大きな理想を掲げず、数年先のスパンで目標を設定する。それはドリームではなく、明確なビジョンである。高橋氏が生み出すロボットの数々が、強力な求心力を携えているのも、そうしたビジョンに裏打ちされているからこそ、なのだ。

rb_img-8

Photo:Masato Moriyama
Text:Satoshi Tomokiyo
Direction:Yuka Matsunaga