15.11.04(Wed)

音楽は出会い、出会いは音楽

熊村 剛輔

熊村 剛輔サックス奏者/ライター

Being Jazz―― 時には Jazz の括りを越えながら、歴史的なド定盤から、現在進行形のライヴまで、グルーヴ感あふれるサウンドを幅広く発信。

SecondEncounter_Album

 今、どうしても聴いておきたいと思っていたピアニストが、アルバムをリリースし、ツアーに入るというので、神楽坂にあるアコースティックホール THEGLEE に向かった。そのピアニストとは永田ジョージ。思えば、彼と一緒に音を出したのは、サックスとピアノのデュオでのステージ。決して激しく主張することはないけれども、その拡がりと奥行きのある演奏で、気付けば、彼のサウンドに包み込まれながら、心地良く音を出させてもらったのを覚えている。


 彼と、伊藤大輔 (vo.)、そして鈴木直人 (g.) の 3 人が “1st Encounter” というアルバムを発表し、ユニットとして活動を開始したのは、今から 3 年ほど前。今回、2 作目となるアルバム “Second Encounter” を引っさげたリリースライヴは、やっぱり期待を裏切らないクオリティだった。

 それぞれ異なる個性を持つ 3 人のミュージシャンたちが、自分なりのサウンドで一つの音の空間を創り上げていくさまは、まさに「このユニットでは全員がリーダー」という言葉どおり。時にはボイスパーカッションが入ったり、ギターがベースっぽく動いたりしながら変化していくサウンドは、とても “トリオ” で演っているとは思えない拡がりを見せてくれる。

 「音楽は出会い、出会いは音楽」と、永田ジョージは言う。前作から 3 年が経ち、各メンバーが、それぞれの出会いと、そこから導き出される音楽を重ね、経験値を上げて、再び出会うことで生まれた “Second Encounter”。「前作よりも “バンド” としてのサウンドを意識した」と語る永田ジョージのアレンジした楽曲は、定番スタンダードから、玄人好みの隠れた名曲まで幅広い。

 比較的古めの曲も選曲されているのだが、それぞれのアレンジをよく聴くと「え? なんで、そこで、そんなコードが出て来るの? (でも、超カッコいい !!)」とか「あ、今の部分、よく聴いたら 7 分の 4 拍子じゃん」という感じで、実はものすごく難易度が高く、コンテンポラリーなことをやっていたりする (“プレイヤー” として聴くと、結構ビックリするようなアプローチだったりする) 。

 だが、サウンド自体は、そういった難解さを全く感じさせないどころか、むしろ誰でもとっつきやすいカタチに、きちんと昇華させている。実際、この日の客層も、おそらく普段から意識してジャズを聴くことが、あまり多くなさそうな方々ばかり (ちなみに来場客の 9 割は女性という、おおよそジャズのライヴではあり得ない男女比で、慣れない筆者が不思議なアウェイ感を感じていたのは、ココだけのハナシだったりする)。

 いわゆるジャズのライヴで、よく見かける、各プレイヤーのソロの後に出て来る拍手や、凝ったフレーズの後に飛び出す “Yeah!!” という掛け声のような、ある種のハイコンテクストな “お作法” は、この会場には存在しない。これは、ジャズを “構えて聴く” ものではなく、”誰でも普通に聴く” ものにしているからこそだ。このあたりは非常に素晴らしいし、ある意味、これまでのジャズ・ミュージシャンたちが、あまりやってこなかったようなことだとも思うわけで。

 「音楽は出会い、出会いは音楽」と語る彼らの音楽は、やはりライヴで聴いておきたい。そのライヴでの出会いは、きっと彼らの明日の音楽につながっていくはずだ。

SecondEncounter


“Second Encounter” are…
永田ジョージ
http://groovepockets.com/
伊藤大輔
http://www.daisuke-ito.net/
鈴木直人
http://ameblo.jp/naotothebomb/